お願い!嫌にならないで
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あれから水野さんは、必ず赤くなりながら、視線は俺の顔より下を見ている。
会話をしている時も、水野さんは俺ではなく、俺の腹辺りと話している。
一体、水野さんが俺の何を気にしているのか、辿り着けずに居た。
悶々と悩んでいた、ある日。
外回りから事務所に戻ってくると、そこには水野さん、中谷さん、山本くんの3人が何やら、賑やかに話し込んでいた。
ふと俺に気付いた中谷さんが、手招きをしてくれる。
「あ、辻さん! お疲れ様です。ちょっと、こっち! 来てください」
「お疲れ様です。何を話してるんですか?」
促されるまま、自分のデスクに座った。
3人を見れば、みんなの瞳が生き生きしているように見える。
すると、中谷さんが楽しそうに言った。
「このメンバーで、宅飲みしませんか」
「お! 良いじゃないですか。やりましょうよ」
俺の良い返事を聞いた後、中谷さんは水野さんに視線を移す。
「ほら! 辻さんも賛成ですって。水野さんも来てくださいよ」
「いや、でも……それよりも先に、辻さんから許可をもらわないと」
楽しそうな中谷さんとは裏腹に、水野さんは少しぎこちなく、俺をチラチラ見る。
水野さんと俺が付き合っていることを知っているのは、この社内では中谷さんだけだ。
山本くんには、まだバレていないはず。
それが山本くんにバレて、秘密が広まったりするのを恐れているのだろうか。