お願い!嫌にならないで
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外に出たとき、水野さんの表情がやや曇っていた。
しかし、営業車まで向かう足取りは、入る前と全く変わらず、相変わらず仕事ペースである。
水野さんが、俺の方を見た。
「さ、次のところ、行きましょうか」
「水野さん」
「はい」
俺が足を止めて、水野さんを真っ直ぐ見つめると、彼女も足を止める。
別に大したことを言うつもりもないのだが、大それた雰囲気が流れてしまう。
妙に緊張している。
「水野さん。俺、ここから運転代わりますね」
「え。いえ、大丈夫ですよ?」