お願い!嫌にならないで
真っ赤な顔をした格好悪い自分の姿が情けなく思えて、顔を伏せた。
そんなときに限って、大将が俺たちのところへ戻ってきて、話しかけてくるものだから、顔を上げざるを得ない。
「悪い悪い。辻くんたちの注文聞いてなかったね。何にす……って辻くん、顔、真っ赤だけど大丈夫か?」
「や、大丈夫ではないけど、何でもないんで、そのまま捨て置いて。頼むから」
「それはいいけど、何にすんの」
「あ、生2つ。それと、鶏の盛り合わせで」
「はいはい。結局、いつものね」
「うっす……」
「辻さん……?」
水野さんの声に反応してそちらを向くと、彼女が真剣な顔で俺を覗き込んでいた。
それにまた、驚き、照れる。
「は、はいっ」
「もしかして、体調悪いですか?」
「いえ、全く!むしろ、ピンピンしてます!」