お願い!嫌にならないで
少し前に来た生ビールのジョッキを、俺がもう少しもすれば空けてしまいそうな頃に、大将が姿を現す。
「へい、お待ち」
俺達の目の前には、タレがテカった鶏モモ肉、ねぎま、皮にレバー、そして、つくねが置かれる。
大将はもう、得意気だ。
良い焼き具合を主張する僅かな焦げが、食欲をそそる。
水野さんはというと、焼き鳥からしばらく目線が外れない。
ちょっと。こんなにも生き生きしてる水野さん、初めて見た。
目がキラキラしてる、気がする。
ビールも手伝って、いつもより頬も赤い。
こんなに喜んでくれるなら、俺だって嬉しい。
「どうぞ」
俺が水野さんに勧めると、彼女は頷いた。