お願い!嫌にならないで


「ま、守るって、私を?辻さんが……?」



その声につられて、水野さんを見ると、耳まで真っ赤になっていた。

口元に丸めた手をやって、目をぱちくりとしている。

この反応は……驚いている?

それとも……期待していいのか?

ドキドキと胸がうるさく、好奇心が前に前にと出てきてしまう。



「そっ、そうです!俺が水野さんを守ります!営業の同伴させてもらう、側に居られる間は、守れます!」

「こ、心強いです……」

「良かった!ちゃんと守りますから!てか、俺は水野さんの、何なんだって感じですよね!すみません!」



淡い期待にそそのかされ、少し調子にのってしまう。

あまりこれ以上、余計なことを言わないように、しないように気をつけなければ。

水野さんは、男性から不快な思いをさせられた経験があるのだから、そういうことについては、特に敏感だろう。

注意して、接しなければならない。
< 53 / 239 >

この作品をシェア

pagetop