お願い!嫌にならないで
「辻さんのこと、考えていたんですね?」
あきちゃんが楽しそうに、私をからかってくる。
思わず、顔を両手で覆った、そのとき。
「良いですねぇ。女子2人で楽しそうに。何、話してんすか?」
声のした方を見ると、そこにはあきちゃんの彼氏さん 兼 営業部での後輩山本くんと──
「お疲れ様です……って、水野さん、泣いてるんですか?!」
椅子に座っていた私の目線に合わせるようにして、辻さんが私の前にしゃがむ。
ああ、駄目。
そんなこと、されたら。
「水野さん、顔、真っ赤じゃないですか」
ほら、もう。
顔が赤くなっている原因の張本人に、こんなに心配されている。