お願い!嫌にならないで



昨日、告白はされたけれど、最後に謝られた。

もしかして、「好きかもしれない」は取り消してほしい、ということなのかもしれない。

切り替えが早いなぁ、と少しモヤッとする。

もちろん、俺は嬉しかったからだ。

明らかに、チャンスを逃した。



「あ、辻さん」



自分のデスクに向かおうとしたときに、ふと呼び止められた。

昨日絡みの話か?

少し不安に思っていると、水野さんは僅かに微笑んでいる。



「部長より、お話があるようです」

「え……一体、何でしょう」

「大丈夫です。辻さんにとっては、良いお話だと思いますよ」



そう言った水野さんの僅かな微笑みの中に、寂しそうな表情が、見え隠れしているように感じた。
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