お願い!嫌にならないで
しまった。

一緒にご飯に行った、なんて照れ臭いことは言えない。

何とか誤魔化す。



「あの……水野さんと同じタイミングで、退社した日がありまして。そのときにも、粘っこく距離をつめたり…………ボディタッチなんかも少しありました」



すると、部長は盛大な溜め息を吐いた。



「あいつは、相変わらずだな……辻、一人で本当に大丈夫か」

「はい……!」

「少しでも不安なことがあれば、言ってこいよ」

「はい!」



そして、奴の居る取引先の担当は、俺に任せてもらえた。

これで、少しは変わることがあるだろう。

何故かしら達成感を感じ、デスクにそっと戻る。

すると、俺に影が被さる。

見上げると、中谷さんが俺を見下げていた。

表情を見るに、ただならぬ雰囲気だ。



「辻さん、ちょっと顔貸してください」



ヤバい、恐い。

俺、体育館裏に連れて行かれちゃう。
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