お願い!嫌にならないで
「なんでも、うちの機器が上手く動作しないらしい。直接、訪問して確認してくれ。一通り、うちの製品マニュアルには、目を通してもらっているはずだから、多少の対応はできるな?」
「──はい!」
「口を酸っぱくして言うようだが、分からないと思ったら、直ぐに連絡してこいよ」
「はい!」
単独行動の初日から、なかなか骨が折れそうな任務だ。
それでも、出来るだけのことをやってこよう。
あいつの相手をするということは、水野さんと俺だけの、二人だけの約束のようなものだから。
「………………よしっ」
自分に気合を入れ、鞄を持ち上げる。
「行ってまいります!」
そうして俺は、事務所を後にした。