キミへ告げる想ひ
ついに明梨が始めてのコンクールに出場した。

一家総出で応援に行った。

結果は銀賞。

由紀子は明梨が、ショックでバレエをやめてしまうのではないかと思ってしまった。


でもそれは、杞憂に終わった。
コンクールが終わって家に帰ってから、彼女は言ったのだ。

「負けたくない。こんなところで、銀賞で終わりたくない」
と。

由紀子は涙が出るほど嬉しかった。

けれど、そのころから二人はアイドルにもはまり始めていた。

ある日、三人だけの練習のとき私用で遅れてしまい、
ふと教室の中を覗いたときだった。

二人は自分たちの好きなアイドルの曲を踊りながら歌っていた。
綺麗だった。そして、とても楽しそうだった。

「私は、アイドルになりたい」

これは、明梨が小学六年のときに言った言葉だった。
由紀子は反対しなかった。

「あなたのやりたいようにすればいい。
明梨も若菜も自分で好きな道を選んでほしい」

そう言った。
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