キミへ告げる想ひ
まもなく明梨はオーディションを受けた。

表現力や歌唱力が評価され、彼女は合格した。

そして、彼女は東京に呼ばれ行くことになった。

由紀子は笑顔で送り出した。
明梨も笑っていた。

明梨が東京へ行ってしまったあとも由紀子は若菜たちにバレエを教え続けた。

さらに、それから一年が経った。

ある日、玄関のドアを開ける音がしたので、見に行ってみると、
そこにはやつれた明梨がいた。

開口一番彼女はごめんなさいと言った。
よく話を聞いてみると、明梨は東京に行ってから一年間ずっといじめられていたというのだ。

それで、耐えられなくなってそこをやめてきたという。

由紀子は彼女を、そっと抱きしめた。
そして、耳もとでごめんなさいと何度も、何度も謝った。

「アイドルになるのは諦める。
でも、私はバレエだけは絶対にやめない。
ここでお母さんのあとを継ぐ。

だから、その代わり今度は若菜のこと、好きにしてあげてほしい」

明梨は帰ってきてからそう言って、
行く前よりもご飯を食べ、よく練習した。
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