キミへ告げる想ひ
11-星の向こう側

1,

彼らは終始無言だった。

水沢明梨が吐く息でさえも大きく聞こえた。

それが終わると、次は時計の秒針の音だけが鳴り響いていた。

「どう…だった?」

水沢さんが沈黙を破った。

「水沢さんがバレエをやり始めたのってお母さんがきっかけだったんですね。
菜々子はどう思った?」

桂碁は彼女の方を向いた。

「うん…。
私が知っていたのは、おばあちゃんはバレエのコンクールの世界女王だったけど、引退して今は教室を開いてるってこと。

あとは、私がそこに通うってことも。

お母さんがバレエをやっていたなんて、私全然知らなかった。

前にバレエやったことあるの?って聞いたことあるんだけど、そのときは…はぐらかされちゃって聞けなかったの。

明梨ちゃん、お母さんはもう踊れないの?」

「私のお母さんに聞いた感じだと、
飛び跳ねたりとか足に強い負担をかけることはきついみたいよ」

そう言って、彼女は一旦言葉を切った。
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