キミへ告げる想ひ
「そういえばね、
私がアイドルになりたいって言って、

東京行って帰ってくると若菜は、
その間にぐんと成長していた。

その時ね、正直言って嫉妬しちゃった。

若菜の…才能に。

始めたときからいっつも若菜に先を越されてた。

何度懸命に練習しても全然追いつけなかった。


情けないって、

姉のくせにって何度も周りの人から言われた。


お母さんはそんなこと全然言わなかったけど。

今でも思うときがあるんだ。

何であのとき私じゃなくて若菜が怪我したんだろうって。

私が骨折して踊れなくなる方が若菜がなるよりも全然よかった。

だってあの子の方が上手なんだよ。

なのに、私は才能すらないのにお母さんのところでずっと踊ってる。


なんで…?


全然わかんない…。


できることなら私が若菜の身代わりになりたかったよ…」


明梨さんは号泣していた。

菜々子は彼女の背中をそっとさすってあげていた。


もしかしたらとは思っていた。

若菜さんの方が上手だったというのは今始めて知ったが、

明梨さんが若菜さんと自分を比較して責めているんじゃないか、

桂碁は彼女の話を聞きながらそう思っていた。
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