キミへ告げる想ひ
「雨だ…」

クラスの誰かが気づいたようだった。

その声で一瞬、みんなの動きが止まった。


予報では夜まで快晴のはずだった。

けれども雨は、降っていた。

傘を持っている人たちはそんなことは

気にも留めず帰っていった。


少しだけ雷も鳴っているようだった。

桂碁は、今日は合羽を持ってきていなかった。

傘も持ってきていなかった。

どうするべきか迷っている間にも、

傘を持ってない人たちも少しずつ帰っていた。

「桂碁、もう濡れて帰るしかないんじゃない?」

愛斗が言った。

彼は、傘はないが合羽はあるようだった。

二人で昇降口から自転車の置いてある場所まで全力で走った。

それだけでも制服の前の部分は濡れてしまっていた。

二人の制服はその雨足の強さを物語っていた。


桂碁はもう、覚悟していた。       
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