キミへ告げる想ひ
文化祭のあとは一学期はたいした行事もなく

すぐに終業式を迎え、夏休みに入った。

「席替えをします!」

先生はそう言った。

夏休み最初の英語の夏期講習でのときのことだった。

その一言であっという間に教室中は騒がしくなった。

一教室には三組と四組がいた。

といっても全員ではなく、この講習を受けている人たちのみだけだったのでたいした人数はいなかった。

愛斗はギター部の練習で、受けていなかった。

今までは各クラス名簿順で座っていた。

全員で三十四人いた。

それをクジで混ぜて一班四、五人を八班作ると先生は言った。


鼓動は正常だった。

いつもと変わらなかった。

完全に安心していた。                           


クジを引いて全員その通りに動いた。

桂碁は元の場所のままだった。

最初はまだ、全員前を向いたままだった。

桂碁は一番窓側の先頭に座っていて、

その右隣に来たのは四組の女子だった。

後ろの二人は、まだ誰が来たのか知らなかった。

「じゃあさっき言った通りにグループ作って」

先生が合図した。

これで後ろの二人がわかるはずだった。



「え…?」


少しだけ声が出た。

幸い、誰にも聞かれていなかった。    
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