キミへ告げる想ひ
「ありがとな」


彼は、屋上に来てからしばらくして言った。



子供たちの遊び場にもなっているこの場所には、今日は誰もいなかった。


そして二人の姿を、オレンジ色に染まった太陽だけが照らし出していた。



「何が?」


桂碁は聞いた。


「今日来てくれてってこと。

もう桂碁と同じ学校に通うことはないだろうから、


その前にゆっくりと桂碁と話したかったんだよね」





このときだけは愛斗は琴葉と呼ばなかった。
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