キミへ告げる想ひ
「俺は…、いや私の心は女だったんだ」

「え…。どういうこと?」

「性同一性障害。それが自分自身に下した診断。
きっかけは声変わりだった。

おそらく自分の声変わりが始まったのは中二ぐらいだったと思う。

急に声が出なくなって一気に低くなるタイプとは違って自分の場合は徐々にゆっくり声が低くなっていった。

あまり信じたくはないけどこの声は多分まだ下がると思うんだ」

そして桂碁は、一呼吸置いてさらに、続けた。

「みんなは、俺が音楽が大好きだってことは知ってるでしょ?」

そう桂碁が聞くと、みんなはゆっくり首を縦に動かした。


「幼稚園の頃からハマって、それが今でもこうやってずっと続いてる。

言っちゃえば俺の親友はずっと音楽だった。

歌うのも好きでよく学校帰りなんかでも歌ってた。

ずっと女性歌手の歌ばっかり歌ってたから『声変わりしたくない。』って思ってた。

で、そう思ってたのが、確か周りが少しずつ声変わりし始めた小6の頃だった」
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