君の涙を拭いていいのは、僕だけ。【短編集】

ちゅっ




少し、いやかなり強引に彼女の唇をふさいだ。

「これで、」

「航、帰ろう。」

彼女は僕の言葉をさえぎり、顔を背けそう言った。

僕は、黙ってエンジンをかけ、サイドブレーキを解除し、アクセルを踏んだ。



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彼女から再び連絡が来たのはあれから1週間が過ぎたころだった。

この1週間、僕は彼女から嫌われても仕方ないほど強引だったあの一連の行動を何度となく思い返していた。

彼女からの連絡は、今日の18時に7号館のロビーに来るようにお願いするものだった。

ふだん、僕たちは学校では顔を合わせない。

学部が違うと会う機会がまずない。

こうやって、約束しない限り。

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