あのとき離した手を、また繋いで。


さて、ここからが本題です。


私と一緒にいても、愛されていると実感させてくれていても、夏希はある女の子を一途に想っていました。それは近くにいてひしひしと感じていました。


誰のことかは、わかるよね?


たしかに私は幸せだった。夏希と恋人同士になれて、心から悔いのない人生だった。


でも取り残された夏希はきっとズタボロに傷つきまくっていると思います。
誰のせいだよって言われそうだけど、あなたにお願いがあるの。


まだ夏希のことが好きなら、いますぐに夏希のところへ会いに行ってほしい。


こんなワガママばかりだった私の、最後のワガママです。


橘さんがまだ夏希のことを想ってくれているなら、どうかお願い。


夏希のことを助けてください。


お願いします。


それでも万が一あなたが自分を捨てた夏希のことを恨んでいて、その気がないのなら、この手紙はいますぐ捨てて忘れてください。


どうか、夏希のことをよろしくお願いします。



黒木めぐるより。




< 117 / 123 >

この作品をシェア

pagetop