BLUE DAYS
言葉を選べばよかったわ。
よくみたら制服着てないし。見たらわかることやん。おいらの馬鹿野郎。
そう言って自分の頭を叩いていた、
「それは申し訳ない。女子高生に一瞬見えたから、ホンマにごめんやで」
そう言いながら何回も頭を下げた。すると女のコは、下げた僕の顔を下から覗き込みながら、
「そんなに謝らんといてくれますか?」
にっこりと笑いながら、僕の太ももをトントンとして、更に持っていたタオルで顔の冷や汗を拭いてくれた。
「それもそうか。なんかめっちゃダサいわ。初対面の印象めっちゃ悪いわ。ハハハ…。」
僕は女のコの顔が見れなかった。多分顔から火が噴いているに違いない。せっかく汗がひいてきたっていうのに、また違う汗が出てきたわ。って、それを拭いてくれてるなんて…。
しかも何度も言うが、相手は初対面の女のコ。よく見ると、可愛い。僕の心臓の鼓動が女のコにも聞こえるくらい、鳴っている。
そうだ。話を変えよう。
「そういやぁ、どこまで行くの?」
「淀屋橋までです。後は、京阪に乗り換えるから。あぁ。でも電車の中で、会話しながらの通学って初めてかもしれへんわ」
そう言いながらまだおデコに吹き出てる汗を拭いてくれている。
「そうなんや。ホンマによう考えたら、そうなるんか。電車の中って、知ってる人が居ないと、孤独やもんね。僕も大概スマホで曲聞いてるもんな。」
「そうなんですよね。私も自分の世界に入っちゃってますわ。テスト前の勉強したり、レポート纏めたり、あと仕事の事で覚えなあかんとことかあればって、まぁそれは、毎日か!」
最後の語尾になるにつれて、女のコはぶつぶつ独り言のようになっていった。この学生で仕事って、アルバイトかなんかかな。何か大変そうなアルバイトをしてるんやろうな。
そう思いつつ、何とかはなしを逸らす事に成功して、ふと女のコの顔をじっと見た。横顔だったけど、何か、よく説明できないけど、味わったことのない、オーラというか、雰囲気を感じた。
可愛いと思うのは、当たり前という程の鼻すじがすうっと通っていて、なんせ、唇が、ラメが入っていてキラキラしてて。それでいてとてもいい匂い…。
これで女子高生って言った自分の人の見る目の無さに、落ち込むわ。と思う程ヘコんだ。
「仕事で覚えなあかん事があるって、学生さんやのに大変やね」
そう切り返すと、一変顔色が一瞬変わったように見えた。
なんか言ったらマズイ事言ってもうたんかな。
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop