選べるわけないじゃんっ!!
男…じゃなくて堤さ…でもなかった…。
もう!とにかく!涼太くんに何も言われなくて良かったってこと!
いったん落ち着こう…。

私が心を落ち着かせようと深呼吸をすると、ポンっと肩に涼太くんの手が乗った。

「言っとくけど、俺まだお前にお願い聞いてもらってないんだけど?」

あっ!そうだった!
すっかり忘れてました!

「それで〜、お願いというのは〜何をすれば…?」


「俺と付き合え。」


「…………。???……うーん?…えっ?…あっ……はあぁぁぁぁあ?!」


一瞬言葉の意味が理解出来なくて、固まっちゃったよ…!
…っていうか…、


「なんで私がアンタと付き合わなきゃいけないわけ?!
ありえないんだけど!嫌です!それだけはお断りいたします!」


「言っとくけど、お前に拒否権ないよ?お前が嫌だって言っても、俺は先生にお前の事チクるだけだし、結局はお前にメリットないんだから。」


…そっか。そうじゃん。
断ったらチクられちゃうじゃん。私の平和な学校生活が続かなくなっちゃうじゃん。なら、この人の言う事聞いてた方が…。
あと、1年でこの人卒業するしね!そうだ!そうしよう!
…でも……。


「やっぱりアンタとは嫌だぁ〜!もっと優しい人がいいし、私を守ってくれる人がいいぃ〜!それに……私のファーストキス……」


そうだよ。私はまだキスをした事がないんだ。
こんなやつに奪われてたまるか!


「ワガママかよ…。てかお前まだキスもした事ねぇの?」


キス『も』とは何よ!調子のりやがってぇ〜!

「そ、そうですよ!した事ありませんよ!やり方も知らないし、どうせ下手だし?!やるとしたら、寝る前にぬいぐるみのクマにおやすみのちゅーするぐらいですけど?!………はっ!」


言ってしまった…。家族にすら言ったことがなかった秘密…。
そうです…。私寝る前にクマさんにちゅーしてから寝るんです…。
恥ずかしぃ〜!よりによってこの男に話すだなんて!

私は恥ずかしさのあまり頬を手でおおいながら、顔をブンブンさせた。
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