私の彼氏と浮気してください。
「杠」


部屋に入ると植本と話している譲りが目に飛び込んだ。

初めてあった時にみたいにか弱くて細くて泣きだしそうなほど儚かった。

でも、生きている杠だったから、強くなるって決めたのに男のくせに、彼氏のくせに、杠を守ろうと決めたくせに、涙が溢れた。


「あ、瑠斗!お見舞い来てくれたんだ!いやぁ最近夜遅くまで本とか漫画読んでて寝不足になってて…アハハ馬鹿だよね」


杠は嘘ばっかりつく。なのに下手っぴだ。
俺が泣いてるのに気がついた瞬間ちょっとうろたえて馬鹿みたいな言い訳しながら杠も泣き出していた。

お互い不器用すぎるから。なにも気が付かないふりをして。
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