私の彼氏と浮気してください。
「とにかく、別れてあげなよ」


悪魔…死神の囁きだった…。

悪魔の囁きは鉛の塊になって気持ちを重くする。

さっきまでやたらと明るかった植本がここにいたら、とあいつにまで縋りたい気持ちになる。
小柳は寂しそうな顔をしている。

教えといてそれはないだろ…
そんな顔普段にねぇのに、なんで今同情してくんだよ。


「可哀想だと見捨てただろ」


投げやりにそう言ってしまった。それでも覚めきれない熱を逃がすため、屋上ギリギリに立つ。
風が強くて、頭を物理的に冷やしてくれる。
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