私の彼氏と浮気してください。
適当な相手ほど適当に返しやすくて、というかそこまで近くない人だから、気が抜けていく。私だってだてに嘘をついてきてない。
自信満々に言うことじゃないけど、この人は私と同じ、隠して現実を殺す人だ。


「じゃあ、本当の自分を一つだけ教えてよ、自分のわかる本当の自分をね」


口角を少し上げる。
要は秘密をひとつずつ公開する。
勝手に何言ってんだろって最初は断ろうと思った。
でも、今ものすごくどうでも良くて、楽しそうというたった4文字の理由に頭を乗っ取られた。


「いいよ、先に言ってくれるなら」


「もちろん」
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