もう一度、君と。
Chapter1
胸いっぱい息を吸い込めば、金木犀の香りが全身をかけ巡る。
そんな秋の入り口に立った頃のこと。
誰でも利用できる学習室で
俺は1つ上の先輩、尋くんに勉強を教わっていた。
「ここの英文を訳したら『〜された』っていう文末で終わるから…」
一生懸命、尋くんの説明に耳を傾けるも、思うように頭に入ってこない。
1週間後にはテストが控えているのに…
くそー、これだから英語ってやつは!!
「…モトキ、わかってないだろ」
「おっしゃるとおりで…」
せっかく教えてくれているのにごめんなさい、
でも、俺、まじで英語わかんない。
そんな気持ちでガクッと肩を落とした。