長い夜の終わりにキスを



「っひ...!」

恐怖で、うまく呼吸ができなくなる。

私の5mほど後ろには、体長4m程はある一匹のドラゴン。
その時、ドラゴンは咆哮した。

「グォォオオオオ!!!!!!」
__まるで、手を煩わせるなよ。と言ったように。

その咆哮と”追いつかれてしまった”という事実は私はパニックに陥らせる。


どうしようどうしようどうしよう。
嫌だ、嫌だ嫌だ死にたくない。
死にたくない死にたくない、死にたく、ない...っ!

そう思っている間にも、ドラゴンは”俺には関係ない”と言わんばかりに、大きな一歩を進める。

...無情にも私とドラゴンの距離はどんどん短くなる。


__今すぐ回れ右をして、前に、前に走り出さなきゃいきない。

頭ではわかっているのに、”殺される”という目の前大きな恐怖が、体を動かすことを許さない。


「いっ、嫌よ...!」
どうしようもない恐怖から漏れたその言葉と共に、目からは涙がボロボロと溢れ出す。




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