長い夜の終わりにキスを



「はーあ...俺は逃げろっていったからな?...トラウマになった、なんて言われてもしらねえからな。」

少年の声色は、苦戦を虐げられているとは思えないようなもので。
その言葉が私の耳に届いた__と思った数秒後。

__私の目では、確認することのできないほどの早業であった。

ズシャッ、という音が3回響いた後、目の前にはバラバラになったドラゴンだった物。
そして、地面にはまるで噴水のほうに舞った血あの跡。


「...え...?」
そして__自体を飲みこめず、放心状態の私。


「はあ、だから逃げろって言ったのに。」


さっきまでの威勢はどこに行ったのやら、ペタリと座り込んでいる私の元に少年はスタスタと歩いてやってくる。
「...っ!」
私の顔を見て何故か、一瞬、動きが止まった、と思ったら「ほら」と言って私に手を差し出した。


一瞬、それがどういう意味をあらわしているのか、分からなくなる。

手を出されてから、10秒ほど固まっていると「ほらってば。」ともう一度、少年は更に手をズイッと差し出した。

...手を貸してくれるってこと?
ようやくその考えが及ぶと、素直に目の前の手を取った。




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