俺のものとるなよっ。
急展開

美香と仲直りした祐介。今日は、すこぶる気分が良かった。でも、不機嫌な奴が朝から隣にいる。
「昨日は、1人で寝て寂しかったんだからな」
「はいはい」


優馬の機嫌をとるために、頭をぽんぽんした。案の定すぐ機嫌が良くなった。
「やっぱり、祐介は僕のこと好きでしょ?」
「好きだけど嫌い」

「なにその中途半端な答え!僕めっちゃ傷ついたんだけど」
「分かったよ、ほら」
祐介は、優馬のお尻を叩いた。

「祐介!大好きだよ」
「キモい!やっぱり!」
祐介は、さっさと学校の中へ入る。

「待ってよー!ちょっとー!」
あの笑顔で追いかけてくる。


放課後になり、いつもの道を歩いていた。下校途中に必ず小さな公園を通る。

今日は、やたらとなんか騒がしい。声のする方に行ってみると。そこにはうちの制服じゃない男子高校生4人が、1人の女の子に群がっている。


「ねえ、いいじゃん。これから俺達と遊ぼうよ。ちょうど女の子足りなくて困ってたんだよ」
「ちょっとやめてよ!触らないで!」
「威勢のいい女の子、からかいがあるよな」
「ほんと、ほんと」
その子を後ろから抱きしめたりして、やりたい放題だ。

よく見ると、祐介とサボった響子だった。助けるべきか、そうじゃないか。でも、優馬は男として許せなかった。

そう思った時には、野郎どもに近づいていった。

「君達なにやってんだよ!その子嫌がってるだろ!」
「あ!なんだてめえ。この子とどういう関係だよ?」
「クラスメートだよ」
「へっ、だっせー!こういう時って俺の彼女だって言うんじゃねえの?」
「うるせえー!」

優馬は自分の後ろに響子を回す。
「やるか!おら、どっからでもかかってこいよ」
「来ねえなら、こっちからお迎え行ってやろうか!」

男子高校生は殴ろうとするが、運動神経のいい優馬に勝てる訳がなく。

「なんだこいつ!ちっこいくせにやるじゃねえか」
それから何度も優馬に挑むが、空振りで疲れ果ててきた。

「どうした!まだやるのかよ!」
「こいつ化けもんだ。行こうぜ!」
男子高校生4人は、去って行った。

「間宮さん、大丈夫?」
「うん、ありがとう。香月くん強いんだね。体小さいのに」
「それは、余計だよ。僕だって気にしてるんだから」

「ごめんごめん、本当にありがとう。じゃあ」
「待ってよ!間宮さんの家までボディガードさせてよね」
「えっ、守ってくれるの?私のこと」
「当たり前じゃん。男が女を守るのは」

「頼もしいね、香月くん」
「そうじゃなくて、優馬って呼んでほしいなあ」
「じゃあ優馬!」
「なに?」

また、優馬はあの可愛い笑顔を振りまいた。

ビビビッ。えっ、なにこの感覚。響子は、びっくりした。優馬の数秒の笑顔に一目惚れしてしまった。

私、祐介のこと好きなのに...。
この笑顔ずるい。どうしてくれんの?この気持ち、ねえ、優馬?

早速手が早い優馬は、響子の手を握った。
「えっ、ちょっとなにするの?」
「なにって好きだから手繋いだんだけど。だめかな?」
「えっ、あの...」
口は嫌だって言ってるけど、心は正反対で、優馬の笑顔に一目惚れした響子。

「僕のこと好きでしょ?分かるんだ、そういうの」
「えっ、いや、あの......」
図星で何も言えなくなってしまった響子。

「家、どこ?」
「そこの角右に曲がってすぐ」
「ここかな」
「うん、ありがと。送ってくれて」

家の問題まで響子を詰め寄り。
ちゅ。えっ!えー!キス⁉︎なんで?

突然すぎて目は開いたままの響子。
「俺間宮さんのこと、好きだから」
「えっ、この何十分かで?」
「好きになるのに、時間は関係ないよ」

ちゅ。へっ、またキス‼︎
「またねのキス。それじゃ」
優馬は何事もなかったように歩いて行く。

響子は、何が起きたか分からなかった。いきなり好きって言われて、心読まれて、2回もキスされて。

ぼーっとしてしまった。あっ!どうしよう、私まだ、祐介に付き合ってOKの返事してないのに...。

優馬にキスされた‼︎ 私は一体どうすれば......
優馬はとっくに曲がって姿が見えないのに、ずっと遠くを見ていた響子。
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