俺のものとるなよっ。
縮まる距離
ファミレスに入って、メニューを見ている2人。
「何しようかなあ、岡崎は決めた?」
「お前が先に言えよ」
「じゃあ、ハンバーグステーキセットにしよう。あとアイスコーヒーも」
「俺も同じやつ」
「なんで同じなの?」
「お前と同じの食いたいから」
「じゃあ、ショートケーキも」
「それはいらねえや」
メニューを注文して待つ。
「お待たせ致しました」
「お前先に食べろよ」
その後祐介の分もきて、ハンバーグを頬張る。
「お前よく食うな」
「そう?」
響子は、ナイフとフォークを上手く使い全部平らげた。そして食後のデザートが届く。
「お待たせ致しました」
「ケーキ食えんの?すごい食欲」
「胃袋がね、ケーキ食べる分あけてくれるんだよ」
「ふうーん」
「んー、美味しい!」
響子の食べっぷりを見て祐介が一言。
「俺にも一口ちょうだい」
「えっ、食べたいの?じゃあ食べていいよ」
響子はお皿ごと渡す。
「そうじゃなくて、食わせて」
「えっ、う、うん...」
響子はだんだん恥ずかしくなってきた。
「早く!」
祐介は口を開けて待っている。
「はい、あーん」
「ん。美味い」
祐介はとびっきりの笑顔を見せる。
うわっ!岡崎その笑顔反則だよ。
響子はじっと祐介の顔を見ていた。
「続き食べれば?」
「う、うん」
大きい一口で食べた為に口元にクリームがついてしまった。
「ふふ、クリームついてるぞ」
「えっ、ここ?」
「ちげーよ、世話やかせんな」
クリームがついてるところを、祐介の指でとって舐めた。
「あっ」
「なに?」
「舐めた」
「いいから、早く食えよ。食べらんなかったら食ってやるけど」
「大丈夫」
ケーキを食べ終えて、レジでお財布を出そうとすると祐介の手で止められた。
「何やってんの?だめだろ」
「えっ?自分の分って思って」
「いいんだよ、俺に払わせて」
「ありがと」
お店を出て祐介にお礼を言う。
「ごちそうさま」
「どういたしまして」
30分程してある場所に到着する。
「これ、乗る?」と祐介。
「えっ、こども遊園地?」
「そっ。でっかい遊園地はチケット代高いからここで我慢」
「そっか」
「不満?」
「ううん、そうじゃなくてこじんまりしたのもいいかなって」
「よし、じゃ行こうぜ!」
遊園地は、コーヒーカップ、空飛ぶダンボ、ミニジェットコースター、観覧車と本当にこじんまりしている。
入り口で、お財布を出す響子。
「これ、私の分」
1500円を祐介に差し出す。
「いいよ、しまっとけ」
「後で電車賃ないと困るでしょ?だから」
「分かったよ、サンキュー」
チケットを購入し、乗り物に乗る。
ひと通り乗って、夕方になってきた。
祐介は、作戦を考えていた。観覧車がてっぺんにきたら告白してキスすると。
「次観覧車乗ろうぜ」
「うん」
そんなに大きくないけど、遊園地全体が見渡せる高さまであがる。
「夕陽綺麗だね」
「そっち行っていい?」
「うん」
もう少しでてっぺんに着く。祐介は勇気を出して口を開いた。
「俺、響子が好きだ」
祐介はそっと響子の唇にキスした。
「ん......岡崎......」
「じゃなくて祐介って呼べよ」
「祐介...」
「ん?」
「私も祐介のこと好き」
祐介は響子を抱きしめた。
やった!言えた!響子は俺のもんだー!
体を離して響子が一言。
「でも、学校さぼったのはよくないけどね」
「それは、響子も一緒だろ」
響子の頬をムニッとつねる。
「痛い」
「ほどつねってねえよ、バカ」
観覧車を降りて駅に向かう2人。
「今日楽しかった。ありがと」
「響子が楽しんでくれたらいいよ」
降りる駅も一緒で。
「響子、携帯貸して」
「えっ、いいよ」
祐介は、響子の携帯に自分の連絡先を登録した。
「なんかなくてもいつでもいいから、待ってるからな」
「電話もLINEも?」
「ああ。俺と付き合って。響子のそばにいたいんだ」
「う、うん...。じゃあ、明日ね」
歩き出してから、祐介は響子を呼ぶ」
「響子、忘れもん!」
響子に近づき、唇にキスした。
「おやすみ」
「あ、うん。おやすみ」
響子はドキドキが大きくなって、おかしくなりそうだった。祐介に手を振りニコッと笑った。
「あいつ、可愛いことしやがって」
祐介は、嬉しくてガッツポーズをした。