俺のものとるなよっ。
離れない優馬
祐介の部屋に来た優馬。
「お前に一つだけ言っとく」
「なあに?」
「俺の部屋の右隣は妹の部屋だから間違えるなよ。まあ美香の部屋って書いてあるから分かるよな?」
「うん。分かった」
「うちは2階にもトイレあるから使っていいよ。鍵だけは閉めろよ。お前の両親に帰らないこと話してるんだな」
「もちろんだよ」
「そうか、ならいい」
祐介は部屋を出て行こうとする。
「ちょっとどこ行くんだよ?」
「は?トイレだけど」
「僕も行く」
「なんでくるの?待ってろよ」
「やだ、朝まで祐介から離れないって決めたから」
「なんだそれ?」
祐介はトイレに入ってドアを閉めようとする。優馬も一緒についてきて、足でドアを止めた。
「なんでだよ?人のトイレお前に見せなきゃなんねえんだよ」
「じゃ、祐介の後ろにいる」
「はあ?もう勝手にしろ」
結局ドアを開けたまま祐介の後ろに立つ優馬。祐介を後ろから抱きしめる姿勢になった。
「お前悪いけど離れてくれる?」
「え?やだよ。離れたら意味ないから」
「はあ、先が思いやられるわ」
「祐介そんなこと言うなよ」
「はいはい」
祐介が手を洗ったら、優馬も手を洗う。
「なんでお前、手洗ってんの?」
「トイレ入ったから」
「あ、そう」
祐介がベッドに腰掛けて携帯をいじると、優馬も携帯を持って祐介の隣に座る。
下を向いて2人同じ仕草をしているのがおかしい。携帯をいじっていると、祐介の携帯に電話がかかってくる。
「もしもし、祐介?」
「あ、響子!」
女だと分かった優馬は聞き耳をたてる。
「どうした?」
「うん、昨日学校行かないで私と遊んじゃったからご両親に怒られなかったかなあって」
「心配してくれてた?」
優馬が密着してくるので肘でお腹を突いた。
「いてっ!」
「えっ、祐介どうしたの?」
「いや、今うちにさ、聞き耳立ててるやつがいるんだよ」
「え、誰?」
「俺の前の席の野郎」
「あっ、香月くん?」
「たしかそんな名前だった」
優馬は祐介の頭を叩く。
「いてえな」
「ちょっと、大丈夫?」
「俺が響子と話してるから、やきもち妬いてんだよ」
「え?それってもしかしてホモ...じゃないよね?」
「変なことはしねえけど」
「気をつけてね」
「ああ。好きなのは響子だけだから」
「もう、祐介は」
「ありがとな、心配してくれて」
「ううん、じゃまた明日ね」
「ああ」
祐介は電話を切った携帯にキスをした。
ポコ!祐介の頭を叩く優馬。
「なんだよ、いてえな!」
「僕をほったらかしにするなよ」
「お前うざいよ」
「そんな怒ってたら、明日の朝までもたないよ?」
優馬は祐介の肩に頭を乗せた。
祐介は、ムッとしてソファに座る。そしたら、優馬も祐介の太ももに座った。
「なんで俺の上に座んの?」
「だってこのソファ1人がけじゃん。だから」
何を思ったから祐介は、優馬を後ろから抱きしめた。
「お前は脳天気で羨ましいよ」
「祐介?」
優馬は祐介の手の甲にキスをした。
祐介はびっくりして、手を離す。
「なにした!お前」
「祐介慰めようと手にキスしただけだよ?」
「お前気持ち悪いっての!」
そこへ、コンコン。妹の美香が入ってくる。
「お兄ちゃん、夕ご飯だって。お母さんが」
祐介の上に乗ってる優馬が、頭をぽんぽんしてる最中だったので。
「げっ!お兄ちゃん達なにやってんの?頭ぽんぽんって女の子にやる仕草だよね?」
「いや、なんでもなあんだよ美香!」
妹の美香は、階段を駆け下りて行ってしまった。
「やべえ、面倒くさいことになりそう。お前のせいだ!優馬」
階段を降りる祐介。
優馬は何が起きたか分からずぼーっと立っていた。
「おい、早く来ねえと夕ご飯なくなるぞ」
「それは困る!」
祐介の後を追う優馬だった。