愛し紅蓮の瞳
息継ぎも最小限に抑えて告げた私は、軽く肩で息をしていて、そんな私を見て、光蓮様は目を見開いて驚いている。


かと思えば、



「フッ……ハハハッ、ククッ」


「え……」



次の瞬間、何がおかしかったのか光蓮様は笑い出した。目尻に涙まで浮かべて……何がそんなに面白いのよ!と言いたくなるくらい、それはもう愉快そうに。




「……光蓮様?」


「いや、ククッ……すまない。気を悪くしないでくれ。蘭殿の気の強いその瞳、若い頃の双葉にそっくりでつい笑ってしまった」


「ええ、私も感じておりました。この強い瞳、彼女にそっくり」




光蓮様に続いて、クスッと小さく肩を揺らした楓さんに、さっきまでの張り詰めた空気はなく、ただ柔らかく微笑んでいる。


……双葉さんって、誰だろう?
楓さんも知ってるってことは、東雲家に関係ある方なんだろう。

私は何が何だか分からずポカンを口を開けたまま、光蓮様を見つめるけれど、



「……私は蘭殿を疑うどころか、この話を聞いてより強く、蘭殿は神が送ってくれた東雲家の光。紫黒の巫女様なのではないかと、期待をせずにはいられなくなった」


「紫黒の……巫女」


「卑怯と言われるかもしれないが、交換条件と言うのはどうだ?蘭殿がこの世界にいる間、衣食住には困らせない。約束する。……その代わり」


「……その代わり?」


強く、だけど優しく輝く光蓮様の瞳。
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