愛し紅蓮の瞳
こんな迷惑者と呼ばれてもおかしくない私を、出会ったその日に……しかもそんなにも温かい言葉で迎え入れてくれるなんて、何だかずるいとさえ思う。


だって、


「さぁ、3回に分けて。少しばかり強い酒だからゆっくり味わって飲みなさい」


「……はい!」



この人となら、この人達となら、

家族になりたいと思ってしまうじゃない。




***


結局、あれから夜雨さんと、楓さん、それから虎太くんも一緒に、3回に分けて神酒を飲み干し、私達は晴れて家族になった。


少しずつ喉に流し込んだ神酒の味は、これと言って覚えていない。


頭がクラっとして、喉が焼けるみたいに熱くて、体は火照ってポカポカする。


「これにて、東里 蘭を正式に東里家の長女と認める。……いいな?蘭」


そんな私の名を呼ぶ夜雨さんは、もう私に"殿"を付けることはなくて、


あぁ、本当に私は東里家の娘になったんだ。


「はい。……お父さん、お母さん、それから虎太。こんな私ですが、これからどうぞよろしくお願い致します」


深々と頭を下げれば、対する3人も同じように頭を下げる気配がした。
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