愛し紅蓮の瞳
…………ん?



「ええ。その場合は、私も潔く認めましょう」


「ありがとうございます」



え!ちょ、えぇええぇええ?!
待って、なに相談もなしに勝手に開戦してんの?

何度も聞く!何度も聞くけど、私の意思は?
この親子、人の話を聞く耳付いてないんじゃないの?オプションで生まれる時につけ忘れたんじゃないの!!?


ねぇえぇえぇええ!!!!






「ま、待って下さい!私は紅蓮の妃とかそう言うの興味無いし、無駄な争いは避けたいって言うか」


「……蘭」


「な、なに……」



掠れた紅蓮の声。

真っ直ぐ私を見つめる紅蓮色の瞳。

少しだけ辛そうに歪められたその整った顔に、胸がギュッと苦しくなった。



「頼む、俺の傍にいろ」


「な……」



なぜ、紅蓮がそこまでして私を妃にしたいのか。


なぜ、紅蓮はこんなにも私にこだわるのか。


なぜ、なぜ、なぜ。


私でいいなら、涼音さんでもいいじゃない。そう思う気持ちは消えないし、私なんかに紅蓮の妃が務まるなんて思わない。


そもそも妃って何なのか、どんなことをすればいいのか、妃になったら私はどうなるのか……


そう言う、大事な部分の確かな情報や説明は何一つない。


そんな状況で「Yes」と答えるのは、どれだけ浅はかだろう。
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