愛し紅蓮の瞳
第二章

眠れぬ鬼

＊＊＊


紅蓮の心が軽くなればいい、なんて。

……あの時の私は何とも浅はかだった。




「これ！何をサボっているのだ。シャキッとしなさい」



あれから2日経った今日。


私は"楓さん"改め"お母さん"のスパルタ指導を受けている。



「お、お母さん！休憩しましょうよ、ね？」


「全く。蘭、お前はもう東里家の娘。ましてや今となっては東雲家 次期3代目の側女(そばめ)！覚えることは山ほどあるのだ！休憩なんてしてる暇はない」


「そ、そんな……」



正式に紅蓮の側女と呼ばれるポジョンになったらしい私を、屋敷の皆は『蘭様』と呼ぶようになった。


『ある日突然現れた女が、いきなり東里家の娘になって、さらには紅蓮様の側女になるなんて！』と、私をよく思わない女の子も少なくないみたいで


何だか居心地の悪さを感じるけれど。


今となっては後の祭り。


紅蓮の1日のスケジュールを頭に叩き込んだり、東雲家や東里家について勉強したり、

料理に掃除、それから裁縫に言葉遣い……


その他諸々、覚えることは山ほどあるようで、私よりも涼音さんとの戦いに燃えているお母さんは寝る間も惜しんでスパルタ指導をしてくれている。
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