愛し紅蓮の瞳
だって、まだ言っても18時くらいだと思うの。 寝るにはだいぶ早いと思うの。


……違う。

問題は寝る時間じゃない。



「お、おやすみ……なさい」


さっきまで憎たらしさすら感じていた紅蓮相手に、今度は口の中の水分が一気になくなって、緊張から言葉にならない。


やっとの思いで口にした私の言葉に、

やっぱり紅蓮は



「どこまでバカなんだよ。お前も一緒に寝るんだよ。……早く来い」


当たり前と言わんばかりに主張する。


ドクン、ドクンと大きくなりすぎた鼓動が、このまま紅蓮の声もかき消してくれたらいいのに……なんて思いながら、ふと紅蓮の進む先へと視線を向けた私は再び固まった。



…………出た。
1組しか布団ないやつー。




「……よ、よよ嫁入り前の女の子が」


「お前はもう、俺のだろうが」


「お、俺の?俺のって?俺の?好きじゃないのに、そういう事はサラッと言っちゃうタイプ?うわ、タチ悪いタチ悪い、もっかい言わせてタチ悪い」



顔面から血の気が引いていく私とは裏腹に、紅蓮の顔には怒りの色が滲んだ。



「蘭」


「……はい」


「何もしねぇよ。抱き枕にするだけだ、大人しくこっち来い」



何もしないって言ったくせに。
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