愛し紅蓮の瞳
「自分の提案だってバレるのが恥ずかしいんですよ。あぁ見えて、自分より周りのことを、それも誰より考えていらっしゃる方です。特に姉さんのことになると、紅蓮様は一段と一生懸命になる気がします」

「……そんなことは」

「これでも紅蓮様の傍を務めるようになって長いんですから、最近の紅蓮様を見ていると分かりますよ」



そんなこと言われたって、どう受け取ればいいの?


さっきまでとは変わって、今度はフワリと柔らかい笑みを零す虎太くんになんて言って良いのか分からない。


「……分かった、紅蓮の提案ってことは聞かなかったことにする」

「ありがとうございます。次は口を滑らせないよう気をつけますね」

「あ、その代わり」

「はい、なんでしょう?」



ずっと気になってたんだよね。
その話し方。



「敬語はやめて?姉弟なんでしょ、私たち」

「しかし……」

「家族なのに、そんな堅苦しいのは嫌。それとも、私のこと姉とは認めてくれないの?」

「…………その言い方はズルくありませんか?」

「そうでもしないと敬語辞めないでしょ?紅蓮も言ってた。何度敬語はやめろって言ってもやめてくれないって」

「当たり前です。紅蓮様は私がお仕えする主ですよ?」
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