狂愛彼氏


「はーるかちゃんっ」


午後の一限目が終わってトイレに行くと、後ろから誰かに抱きつかれた。


「真菜」


声だけで分かる。
聞きなれた声だけど、何だかいつもの真菜とは違う声に聞こえた。


「ねぇねぇ、昨日の彼、遥ちゃんの彼氏でしょ?」

「………うん」

「すっごくカッコイイじゃん!」


隣に並んで真菜は鏡を見ながらはしゃぐ。私は、手を洗いながら真菜を盗み見た。


「興奮してるね?」

「だって友達の彼氏だよ?」


興奮するって!


(そうかな……?)


私は、優さんの話を聞いても興奮とかしないけどな。


濡れた手をタオルで拭く。


「いいなぁ~カッコイイ彼氏」

「………真菜は、いないの?」

「ん?いるよー付き合って一年3ヶ月」


意外に長い。


< 116 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop