狂愛彼氏
「はーるかちゃんっ」
午後の一限目が終わってトイレに行くと、後ろから誰かに抱きつかれた。
「真菜」
声だけで分かる。
聞きなれた声だけど、何だかいつもの真菜とは違う声に聞こえた。
「ねぇねぇ、昨日の彼、遥ちゃんの彼氏でしょ?」
「………うん」
「すっごくカッコイイじゃん!」
隣に並んで真菜は鏡を見ながらはしゃぐ。私は、手を洗いながら真菜を盗み見た。
「興奮してるね?」
「だって友達の彼氏だよ?」
興奮するって!
(そうかな……?)
私は、優さんの話を聞いても興奮とかしないけどな。
濡れた手をタオルで拭く。
「いいなぁ~カッコイイ彼氏」
「………真菜は、いないの?」
「ん?いるよー付き合って一年3ヶ月」
意外に長い。