狂愛彼氏
「………まだ付き合ったばかりだよ」
「記念日も?」
「まだ」
うん、一ヶ月はまだ経っていない。
改めて言われて考えてみたら疾風と一緒にいるようになったのは最近のことだったんだ。
毎日一緒にいたから、もっと長い期間だと思っていた。
(それだけ、存在感があるんだなぁ………)
「記念日、まだ、か……」
「?何か言った?」
「何も?」
何か言ったような気がしたけど、真菜は笑顔で首を振る。
「そう……?」
「あ、あたし先生のとこに行かなきゃ行けなかったんだ」
じゃあ、後でねーと駆けていく真菜に私は、首を傾けるだけだった。
「………まだ、浅いよね」
ぽそりと呟いた真菜の言葉を勿論私は、知る由もない。