狂愛彼氏
(あたしで、遊んでる……)
抗議したいけど、最早抗議する力すら残っていない。
(………というか、)
「愛麗と優さんは……?」
お化け屋敷を出てから姿が見えない。
あたし達より前に入ったから先に出口から出てきているはずだ。
キョロキョロと辺りを見渡す。
「いたぞ」
疾風の声に向くと、「ほら、」と指差して教えてくれた。
指の先に目を向けると、ニコニコと手を繋ぎながらこっちに向かってくるカップル。
優さんの空いている手には、買い物袋が幾つか提げられている。
「あ、遥!」
あたしに気付いた愛麗が大きく手を振っている。
それに返しながら、二人を待つ。
「やっと出てきたー」
あたしの隣に腰かけた愛麗はふう、と息をはく。