狂愛彼氏
観覧車ってこんなに高くて大きかったかなぁ?と見上げながらぼんやりと思った。
予想より観覧車を待っている人は少なくて、順番はあっさりと回ってきた。
「じゃ、ここで解散ってことで」
優さんと愛麗の番が来て、乗り込む前に優さんが振り返る。
「え?」
ここで?
「観覧車時間かかるしね。お互い二人きりでも楽しみたいだろ?」
ニヤリと笑いながら優さんは観覧車の籠に乗り込む。
「?」
優さんの言葉の意味がよくわからなくって首を傾けるが、隣の疾風は、分かったと頷いている。
「じゃあねー」
ドアが閉まり回り出す二人を乗せた籠の中から二人が手を振ってくるので振りかえしながら私は隣を見上げる。
「今の、わかったの?」
「あぁ」
チラッと私を見下ろし、係りの呼び掛けに疾風は私の手を取って歩き出す。