狂愛彼氏
結構、観覧車のなかって狭いんだなぁと思った。
昔はそんなこと考えもしなかったのに、向かい合わせに座る私と疾風の膝が僅かに触れ合う。
「…………」
ゆっくりと上がっていく観覧車の箱に身を任せながら、外の景色を眺める。
だんだんと景色が広がり、地上が小さくなっていく。
「………遥」
「……なに?」
名前を呼ばれてゆっくりと外から視線を戻せば、疾風が優しい目で私を見ていた。
「楽しかったか?」
「………お化け屋敷以外」
「フッ……そうかもな」
小さく笑う疾風に私は頬を膨らませる。
「疾風こそ、朝機嫌悪かった」
ピクリと疾風の眉が動く。
「………そうだな」
「何かあったの」
機嫌が戻ったのも気になった。