狂愛彼氏


熱くなる体。
ただでさえ狭い場所で風通しも殆どないのに。


不意に、指先にひんやりとした感覚が走った。
それに驚いて体を震わせると、ゆっくりと疾風が離れる。


肩で息をしながら、恐る恐るひんやりとした感覚がした方に目を向けて、目を見開いた。


「ゆ……びわ…?」


キラキラと輝く指輪が左の薬指にはめられていた。
メビウスの輪のような造りに中央に光る石。


「絶対外すなよ」


疾風に目を向けた後、まぢまぢと指輪を見つめる。


「………指輪」

「あぁ」

「……私に……?」

「お前以外誰に渡すんだよ」


疾風が小さく笑う。
指輪を見ていると、視界に疾風の左手が映る。


「………疾風は、つけないの?」


綺麗な指にはめられていない指輪に若干不満を覚える。


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