狂愛彼氏


疾風は、フッと笑みを浮かべると、私に小さな箱を見せた。
片手でその箱を開けると、私の左手に輝く指輪と同じものがある。


「遥が、嵌めてくれるか?」

「…………」


ジッと指輪を見つめた後、恐る恐るそれに手を伸ばす。
慎重に、傷付けないように、そうっと指輪を取り出した。


キラキラ輝く指輪は私のより一回りくらい大きい。


(疾風って指大きいんだ………)


何てことを思いながら、そっと疾風の左手をとる。
疾風は何も言わず、見ているだけ。
自分の左手の指輪を見つめながら、疾風の左手の薬指をなぞる。


何故だか、この瞬間がとても神聖なものに思えた。


「………」


スッと疾風の左手の薬指に指輪を通す。


これで、


「同じだ……」


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