狂愛彼氏
不思議、不思議
「遥!!」
私を呼ぶ声に、顔をあげると、嬉しそうな様子の親友が目に写った。
「どうしたの?愛麗(アイレイ)」
「相変わらず暗いわね!」
軽くため息をつかれ、そりゃあ愛麗より暗いし、と心の中で吐く。
若本 遥。短大生になった。
短大なのに制服があって、それを校則通りに着てスカートの長さは丁度膝小僧の所だ。
そこらへんにいる一般的な学生、といった感じだ。
「あんた今日暇?」
私の隣に座ってガタガタと私の体を揺らしながら愛麗は聞いてくる。
ちょ、気持ち悪くなるんですけど!
「聞いてる?!」
「ま、先ずはこの手を外せ……!!」
「あ、ごめん」
ケラケラ笑いながら愛麗は離れる。
うわ……ぐらぐらする……
軽く吐き気を覚えながら、私は、机に肘をついた。
そして、目の前にいる友人を見る。
謝花 愛麗。長く一緒に過ごしている友人。
気心知れるというか遠慮なくものを言い合える間柄だ。
でも、地味と称してもいい私と違って、愛麗は派手な方。
二人一緒にいると、黒と金。
「……で、何?」
「そうそう!今日暇?!」
「暇、だけど……?」
そう言うと、キラーンと愛麗の目が輝いた、気がした。