狂愛彼氏
疾風さんの行動に不審に思いながら、私は取り敢えず返信することにした。
年上の人だからちゃんと返さなきゃ。
会う理由は分からないけれど、会わない理由はとくにない。
(わかりました、と)
絵文字はいれるかどうか悩んで顔文字にした。
絵文字を使うタイプではないので文に色がない。
それを貫いていたら愛麗に怒ってるみたいだと指摘されたのでそれ以来、なるべく絵文字か顔文字を使うように心がけるようになった。
返信をすませ、暫くすると、また携帯がメールを知らせる。
開くと、疾風さんからだった。
(今何してる?)
状況を問う内容に、首を傾げながらも返信する。
(今、友達と話してます)
送信をポチ。
送信を確認してから携帯を机に置いた。
「そうだ、駅前のカフェ行ったことある?」
真菜は、思い出したかのように問いかけてきた。
駅前のカフェは、今度愛麗に連れて行ってもらう予定の場所だ。
「まだ、」
「あそこすっごくいいって!」
いつもならんでるからね。
真菜も言う位だから相当おいしいんだ。
そんなこと言われたらすぐにでも行きたくなる。
愛麗と日にちの都合あわせなきゃ。
「らしいね」
「ねぇ、今度一緒に行こうよ」
真菜の誘いに私は愛麗と行くからと言葉にしようとしてぐっと呑み込んだ。
そんなことを言えば真菜は激怒してしまうだろう。
「うん、行こう」
頷いているのが無難だろう。
「絶対だからね」
「分かってるわよ」
ニコニコと真菜は上機嫌だ。
このまま1日続いてくれる事を祈るばかりだ。