狂愛彼氏



「行くよ!」

「どこに、てか今から授業……」

「知るか!」


(おいおいおい………)


こうなった愛麗は何がなんでも我を通す。諦める方がいいい。
私はため息をつくと、愛麗に引きずられるように立ち上がる。


「ちょっと、何処行くわけ?」

「真菜」


教室を出ようとした私達を呼び止めたのは不機嫌そうな真菜。
真菜と目が合うなり愛麗と真菜の間に火花が散った。


「あんたには関係ないでしょ」

「関係あるわよ」

「はぁ?」

「あんたが授業サボろうがどうでもいいけど、遥ちゃんは巻き込まないでよ」


(あぁ……始まった)


私は、深いため息をついた。
この二人は何かと言い争いを始めてしまうんだ。
その間で板挟み状態になってしまう私の身にもなってほしい。


「巻き込む?何言ってるわけ?」

「そのまんまの意味よ。てか、汚い手で遥ちゃんに触らないでよ」

「っ」


真菜は、そう言って愛麗の手から私の手を取ろうとしたけれど、真菜の指が届く前に反対に愛麗の手を繋ぎ直した。


「愛麗、行くよ」

「遥?」


「遥ちゃん?」


キョトンとする二人に、私は、真菜の方を見た。


「………自分の行動は自分で決めるから」

「はる、」

「愛麗の手が汚いわけないじゃん」


無神経なことを言う真菜に腹が立った。愛麗の何も知らないくせに、愛麗が傷つくことを平気で言う。
人は、好き嫌い必ずあるから仕方ないけれど、限度ってものがある。


「遥ちゃん、なんで」


真菜が傷ついたように顔を歪める。
どうして、真菜がそんな顔をするの?


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