狂愛彼氏
「文句ある?」
「別に………また猫被ったんだ?」
「当たり前!んで、本題に戻るわよ」
愛麗が言うには、恥ずかしがりだから(あり得なさすぎ)二人で会うのは緊張してしまう。だからお互い誰が友達連れてこよう………、ということになったらしい。
……いい迷惑だな。
「いいでしょ?」
「パス。他当たって」
「なんで!」
「めんどくさい………」
そんなふざけたことになんか巻き込まないで欲しいわ。
勝手にやってって感じ。
「遥お願い~」
肩にすがりつかれても嫌なものは嫌。
首を縦に振らない私に、愛麗はぐっと顎を引いた。
「………駅前のカフェ」
ピクッと肩が反応してしまった。
「それが、何」
平静を装ってみるけれど、内心期待。
ニヤリと愛麗が勝ち誇った顔をした。
「好きなだけケーキ食べていいわよ?」
(く………卑怯な)
無類の甘いもの好きの私を誘惑してくる。
駅前のカフェといえば、テレビでも紹介される位に有名で、毎日行列がない日がないくらい人気店。
値段も少し高いから未だに行ったことのない店だった。
「どう?勿論あたしもちよ」
そんなこと言われても、私は、
「…………わかったわよ」
ケーキに勝てる意思は持ち合わせていなかった。
(だって好きなケーキとお金払わなくていいなら、ね)
飛び付かなきゃ損。