狂愛彼氏
でも、なんで私なの?
愛麗なら綺麗な友達沢山いるだろうだし、普通は綺麗な友達紹介したいもんじゃないのかな?
パッとしない地味な私をつれていくなんて。
思ったことをそのまま愛麗に言うと、彼女は呆れたように肩を竦めた。
「友達紹介してどうするの」
「え?」
「紹介するなら親友でしょ」
ニコッと愛麗が笑みを浮かべる。
(愛麗………)
なんていいことを……と感動していると、次の愛麗の言葉に感動がガラガラと崩れていく。
「それに、目移りされたくないし」
「…………(あ、そっちが本音?)」
私だったら目移りされる心配ないもんね。
あれ?なんだか、哀しくなってきた。
てか、さっきの感動返せ。
でも、愛麗がこんな性格なのは知っていた。
そんな彼女が私は好ましく思う。
「んじゃよろしくね!」
「はいはい。ケーキよろしく」
「もち!!」
愛麗は、今にもスキップをしそうな勢いでトイレ行ってくる!と教室を出ていった。
私は、その背中を見送った後、小さくため息をついて、手元の教科書に視線を落とした。
もし、ここで、愛麗の誘いを断っていたら、“彼”と出会うことはなかっただろうか?
その答えは、誰も知るはずはない。