狂愛彼氏
「遥は俺の女。俺は遥の男」
手を持ち上げて疾風は見せつけるように言うと、体の重心をずらした。
「遥ちゃんあたしには何も言ってなかったから………」
ちらりとあたしを見る。
真菜に一々報告しなきゃいけない?
義務なんてないはずだ。
「………遥、帰ろう」
「あ………じゃあね」
「………」
疾風に手を引かれて真菜とさよならする。ジッと真菜の視線が突き刺さったまま。
そして、
(機嫌悪いなぁ………)
疾風も最高に機嫌が悪くなっていた。
こっそり疾風を盗み見て、私は小さくため息をついた。
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