狂愛彼氏
疾風は、優しく背中を撫でてくれるけれど私は、体全身に酸素を送ることにだけ集中した。
(し、死ぬかと思った………)
三途の川が一瞬見えたような気がしたのは幻ではないだろう。
それほどに苦しかった。
(でも、いきなり、なんで……)
私は、動揺を隠せない。
こんなに激しかったキス、初めてだった。
こんなに、激しいものもあるなんて知らなかった。
「落ち着いたか?」
「ん……」
小さく頷いて、私は疾風から離れようと胸に手を置いて伸ばそうとする。
「ぇ?」
ガクンとそのまま床に座り込んでしまった。